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​『貴方と長い休暇を

「…き、休暇を、貰いたいんだ」 
アストラルシンドロームが終結した日、知らなかった一面を見せられてただでさえ掴みかねていた距離感をより図りかねていた"彼"から、形ばかりはいまだプロジェクトの責任者を務める僕に向かってそんなお伺いが立てられた。 

‪▷…というような出だしから始まる式島律とその同伴者、橘慎吾の巡礼(と言う名の謝罪行脚)の旅。‬最終回後、アストラルシンドロームの後処理がひと段落ついた頃に式島は橘に向かって突然「まとまった休暇を貰いたい」と許可を求めてくる。 
▷あの日、いの一番にアストラルシンドロームから解放され職場に現れ、何かに追われるようにPCへ向かったかと思えば突然倒れ、また目覚めたかと思えばそれを皮切りに件の患者達が一斉に目覚めた。かつてより明らかに雰囲気の変わった、決定的な何かを知りながら未だ黙して語らぬ式島に少し焦れていた橘は、これを機に状況を打開せんと敢えて休暇を取りたがる理由を尋ねる。 
▷「そ、そんなこと…いちいち言わないといけないのか…!?」「別に理由によっては休暇を取らせない、とか意地悪するつもりはないよ。ただ…ちゃんと知っておきたいだけなんだ。」 
▷橘のこれまでに見たこと無い押しの強さに気圧され観念した式島は事の顛末を少しずつ話し始める。(どうせいずれ話して置かなければならなかったのだ、橘が信じる信じないにしても)俄かに信じ難い内容の全てを、それでも真剣に語る式島の姿を見た橘は同じくらい真剣に、一言一句逃すまいといった顔で向き合う。 
▷語り口の最後に式島は「だから俺は帰宅部の部長として部員達に、そして敵対した者として楽士だった人達に、会わなきゃいけない。会って話をしなければ。自分が何をしたのか、この目で見届けないと。」───そう、言うのだった。(自罰感情が出てきてる出てきてる) 
▷そして「僕も付いて行く」とか言い出す橘 「はあ?」「なんで?」とかワタワタする律チャンにこのプロジェクトのチームリーダーは僕だよ?メンバーの後始末を面倒見るのだってリーダーの役目なんだからね!と言い切って封殺。休みを合わせて取ることになる。 
▷帰宅部在籍時に関係を持った中で仲間や楽士達の現実の居場所にある程度の見当を付けていた式島は、橘を共連れして巡礼の旅へ。ここ最近まで距離感を図りかねていた2人なので話が弾むわけでもなく…なんだけど、案外無理に盛り上げたりしなくても許し合えたので無言が心地よかったりする。ところで無言が続いても苦にならない関係というのはとても気が合う証左なのですってよ、そんな話。 
▷帰宅部は順調に、楽士も一部とはなんだかんだで分かり合えそうなんだけど、ゆくゆく茉莉絵のいる病院行ったり山田くんのお墓参り行く回もあると思うんだけどそれ考え出すと色々と辛いな…。息子を亡くし悲嘆に暮れているかもしれない山田くんの親を、茉莉絵が置かれている状況を直に見つめた時に式島は改めて自分が引き起こしてしまったものの重さを知ることになる。 
▷アニメ世界線のソーンがもし…なら、律チャンと"焦がれた者へ姿を模倣した"、"μの育成・指導した"と影響し合う関係なので色々話題膨らませられるところあると思うんだけど。難しいところ。 
▷旅の終わりに改めて自身が橘を、会社の同僚を、自分自身をどう思っていたのか、またメビウスでどういう行動を取っていたのかをあの時の様な一方的なものではなく、ただ理性的に言葉を選んで橘に改めて伝える律。それを聞き、今までの式島の姿を見守り続けた橘は───。 

不器用ながらも誠心誠意で旅をする律チャンを側で見て、器用に生きていた様に見えて色々なものを取りこぼしていたかもしれない橘にとっても自身を見つめ直す旅になる、みたいな…2人の成長(そしてあわよくば橘式を匂わせたり)を描きたい人生だった…。 
取り敢えずぼんやり考えている範囲をまとめ。追記されたりされなかったりするかも。

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